
正式名称 | ミニチュア・ピンシャー |
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英語名 | Miniature Pinscher |
原産国 | ドイツ |
カテゴリ | 小型犬 |
ズバリ一言 |
スラッと引き締まった身体つき 運動神経の良い子たちです 狩猟犬としても活躍しました |
記事内容 |
ミニチュア・ピンシャーの飼い方 病気の例などを紹介します🐶 |
ミニチュア・ピンシャーの特徴
ミニチュア・ピンシャー(英語名:Miniature Pinscher)は、ドイツ原産の小型犬です。一般的な愛称として「ミニピン」と呼ばれます。
見た目は、スラッと引き締まった身体つきで運動神経の良い子たちです。ハクニー歩様と呼ばれる歩き方が特徴で、膝を高く上げて、直線的にゆっくり優雅に歩きます。
歴史的には、断耳・断尾の風習がありましたが、家庭犬としては断耳・断尾しない子も増えています。
性格は、勇敢で活発で番犬にもなります。一方で、家族以外の人や犬に対して神経質な子もいます。飼育する際には、しつけと社会化が特に重要となります。
かつては小動物の狩猟犬として活躍しており、動体視力や反射神経が抜群です。ただ、小型犬を追い回す行動が出る子もいます。興奮したときも飼い主の指示を聞けるようにトレーニングしましょう。
なお、見た目が小さいドーベルマンのように見えますが、血縁はないとされます。テリアやダックスフンド、イタリアングレーハウンドなどと交配される中で偶然、見た目が似てきたと言われます。
犬種標準のサイズ | 体高 25cm~30cm |
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体重 | 4~6kg |
分類 | 小型犬 |
平均寿命 | 12~16年 |
価格相場 | 20万〜30万円 ※1 |
※1 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2021年12月inuteマガジン編集部調べ
本犬種と似た特徴を持つ犬種について、下記に紹介します。
- 賢く運動神経も抜群!「ジャック・ラッセル・テリア」
- 体高の低い長鼻犬「ミニチュアダックスフンド」
- 見た目が似ている大型犬「ドーベルマン」
ミニチュア・ピンシャーの性格
一般的に、勇敢で活発な性格で、家族に対しては愛情深く接します。一方で、その他の人や犬に対して神経質で興奮しやすい子もいます。
突発的に興奮すると、道路への飛び出しや他の犬とのトラブルにつながります。日常生活で過剰な吠えや咬み付きなどの攻撃性が出ないよう、飼い主がトレーニングと社会化を徹底するようにしましょう。
具体的な飼い方のポイントについては、後述します。
ミニチュア・ピンシャーの毛色
単色とバイカラーの子がいます。それぞれ、下記の毛色が認められています。
単色 | レディッシュブラウン、ディアーレッドなど |
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バイカラー | ブラック&タン、チョコレート&タン |
ミニチュア・ピンシャーの飼い方
小柄でスラッとしていますが、筋肉質な身体つきで体力のある子たちです。毎日朝夕で各30分以上は散歩させましょう。
被毛が短毛のシングルコートであるため、比較的に寒さに弱い犬種です。冬場は寒さ対策として、犬用のセーターやダウンなどを着せてあげましょう。
普段の散歩に加えて、小さい動くものを追いかける習性を活かした自由運動を取り入れるのがおすすめです。ボールのレトリーブなどに子犬の頃から慣れさせ、効果的にエネルギーを消費してあげましょう。
雨天で外に連れ出せないときなどは、家の中で頭を使う遊びも取り入れると、エネルギー消費に効果的です。コングなどの知育トイにおやつを入れ、家の中でそれを探し当てる遊びなどがおすすめです。
ミニチュア・ピンシャーのしつけ
狩猟犬の本能から、小型動物の動きに反応して急に興奮することがあります。飼い主の手を離れてしまうと、事故やトラブルに繋がるため注意しましょう。
散歩中の屋外環境や慣れない環境でも、突発的な興奮を抑制して飼い主の指示が入るように、意識的にトレーニングや社会化を行いましょう。
トレーニング
犬には本能が備わっており、吠えや咬み、追い回し、引張りといった人間社会では迷惑な行動を取ってしまうことがあります。基本的に、興奮状態でも必ず「マテ」の指示が入るように根気よく訓練します。
方法としては、日々の興奮時に毎回飼い主が「マテ」の指示を挟むようにします。例えば自宅のチャイムに吠えたとき、おやつを見て飛びつくときなどに、すかさず「マテ」の指示を出して静止させます。
毎回、言うことを聞くまで根気よく続け、我慢できたときには存分にほめてご褒美をあげましょう。これを続けると、「マテ」に従うことが自分にとって嬉しいことだと認識し、習慣化します。
社会化
しかし、トレーニングをしていても、慣れない環境や他の人や犬と一緒にいるときは、飼い主の指示が入りにくくなります。
慣れない環境でも落ち着いて飼い主の指示に従うことができるよう、多様な環境や他の人、犬に慣れさせる必要があります。これを社会化と言い、子犬の頃から意識的に実践する必要があります。
社会化のためには、積極的に色々な場所に連れて行き、他の人、犬と会わせて慣れさせましょう。これを続けることで、慣れない環境でも落ち着きを保ちやすくなります。
ただ、犬と挨拶をするときは、注意が必要です。神経質で攻撃的になる子もいるため、必ず相手の飼い主の了解をとり、細心の注意を払って、少しずつ犬を近づけるようにしましょう。
ミニチュア・ピンシャーのお手入れ
下記の頻度を目安に、お手入れをしてあげましょう。
ブラッシング | 週2, 3回 |
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シャンプー | 月1回 | トリミング | 不要 |
ブラッシング
ミニチュア・ピンシャーは、シングルコートの短い被毛で覆われています。日頃から抜け毛があるため、ブラッシング頻度は週2, 3回を目安にします。
ブラッシングの方法は、ラバーブラシで体表面をマッサージをするようにやさしく全体を撫でた後に、仕上げに獣毛ブラシで整えてあげるようにしましょう。
シャンプー
シャンプーは、毎月1回を目安にしましょう。肌が薄くデリケートなため、水温は37℃程度に設定し、中くらいの水流でシャワーヘッドでマッサージするように優しく洗います。
また、シャンプーの薬剤を用いる場合は、必ず犬専用の薬剤を用いましょう。人間用のものは刺激が強いため、肌荒れを起こすことがあります。
シャンプー後はタオルでよく拭いてから、ドライヤーで乾かしましょう。短毛のためタオルドライで十分に感じるかもしれませんが、必ず生え際の部分まで乾燥させ、雑菌が増殖しないように注意しましょう。
なお、シャンプー頻度を増やすと皮脂が少なくなり、かえって肌トラブルの原因になります。普段の汚れは濡れタオルを固く絞って拭き取る程度にします。
その他(歯磨き)
ミニチュア・ピンシャーは、比較的に長寿(平均寿命12~16年)の犬種でもありますので、長期間に渡って健康な歯を維持することが大切です。
毎日就寝前のタイミングで、飼い主が歯磨きをしてあげるようにしましょう。方法としては、ガーゼなどを飼い主の指に巻いて、優しくこすって付着物を取ってあげます。
近年は、犬専用の歯磨きジェルなども市場に出てきていますので、効果的に利用しながら歯の汚れをキレイにしてあげましょう。
ミニチュア・ピンシャーがかかりやすい病気の例
本犬種は、レッグ・パーセス病や膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)、骨折(こっせつ)などに注意する必要があります。
レッグ・パーセス病(別名:レッグ・ペルテス病)
小型犬によく見られる疾患で、血流が悪くなることで大腿骨頭(大腿骨の先端)が壊死してしまった状態を指します。
症状としては、足を引きずったり、患部を触ると痛がったりします。生後1年以内に発症することが多いと言われます。
現状、発症の原因となる血行不良の要因が判明していないため、予防方法はありません。好発犬種が限定されるため、遺伝的な要因が疑われています。
治療方法としては、症状が軽度の場合は運動を控えて自然治癒を図ります。重度で大腿骨頭の壊死が広範囲に渡る場合は手術が必要になります。患部切除し、人工関節を取り付ける処置が必要と言われます。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつ だっきゅう)
本疾患も小型犬によく見られ、膝蓋骨(膝のお皿)を受ける溝が浅いとき、膝蓋骨が内側(または外側)に外れてしまうことを指します。
生後まもなく発症することもあります。重度で骨の成長に障害を来す可能性がある場合は、手術が必要となる可能性があります。
骨折(こっせつ)
ミニチュア・ピンシャーは活発な子が多く、足の骨が細い特徴があります。高い場所から飛び降りたり、抱っこ中に落下することで骨折する場合があります。
予防としては、飼い主が住環境を整備してあげましょう。愛犬が過ごすエリアを決めて、高い段差をなくしたり、フローリングには滑り止めの加工やマットを敷きましょう。
これは「膝蓋骨脱臼(しつがいこつ だっきゅう)」の対策にもなります。
ミニチュア・ピンシャーの価格
購入価格 | 20万〜30万円 ※2 |
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月間飼育費用(医療費含む) | 平均12,122円(小型犬 n=539) ※3 |
※2 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2021年12月inuteマガジン編集部調べ
※3 出典:「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」一般社団法人ペットフード協会
ミニチュア・ピンシャーの歴史
ミニチュア・ピンシャーの原産国はドイツで、18世紀にネズミなどの小動物を狩る目的で作出されました。作出の契機となったのは、1895年にドイツで設立されたピンシャークラブだと言われます。
作出には、ジャーマン・ピンシャーやダックスフンド、テリア、イタリアン・グレーハウンドなどが交配されたと言われます。
ドーベルマンとよく似た見た目をしていて、小さいドーベルマンと形容されることもあります。ジャーマン・ピンシャーが、ドーベルマンの作出に共通しますが、両犬種に直接的な血縁はないとされます。
なお、別名として「レー・ピンシャー」や「ツベルク・ピンシャー」とも呼ばれます。レーは鹿を指し、その容姿が小鹿に似ていることに由来します。ツベルクは超小型を指し、そのサイズに由来します。
ミニチュア・ピンシャーとの充実した日々を
引き締まった身体でスタミナ抜群!狩猟能力に長け、動体視力と反射神経に優れる子たちです。本能的に小動物に攻撃性が出ることがあるため、しつけに注意しましょう。
ミニチュア・ピンシャーの性格や特徴、飼い方のコツを学び、アクティブで充実した日々をお過ごしください。
参照文献
No. | タイトル | 出版社 | 著者・監修 |
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1 | 「いちばんよくわかる犬種図鑑 日本と世界の350種」 | メイツ出版 | 奥田香代(監修) |
2 | 「日本と世界の犬のカタログ」 | 成美堂出版 | 福山貴昭(監修) |