狆の性格や特徴は?寿命や飼い方、気をつけたい病気

狆

正式名称
英語名 Japanese Chin
原産国 日本
カテゴリ 小型犬
ズバリ一言 絹のような豊かな毛が美しい
性格は穏やかな子たちです。
奈良時代に渡日しました
記事内容 狆の飼い方のコツやお手入れ、
病気の例などを紹介します🐶


狆の特徴

狆(英語名:Japanese Chin)は、日本出身の小型犬です。豊かな被毛を持ち、特に胸や脚、尻尾にある絹糸のような飾り毛が優雅な印象を与えます。

身体は非常に小柄でチワワティーカッププードルと同等の大きさです。そのため、運動量は室内遊び程度で十分、散歩は外気浴を兼ねて一日30分程度が推奨されます。

性格は、明るく穏やかな子が多く、比較的飼いやすい犬種です。ただ、甘やかしすぎると自由奔放になるため、しつけと社会化には注意しましょう。

犬種標準のサイズ 体高 21cm程度
体重 2kg~5kg
分類 小型犬
平均寿命 12年~14年
価格相場 30万〜40万円 ※1

※1 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2022年6月inuteマガジン編集部調べ

飼い主が旅行などの長距離移動をする際には、専用のキャリーケースで一緒に移動することができます。しつけをして外でもおとなしくできる子なら、公共交通での同伴も可能です。

持ち運びの際の重量が気になる方は、軽量なクレートを選びましょう。ただ、軽いだけでなく耐久性なども考慮する必要があります。クレート選びの参考には、下記の記事をご参照ください。

以下に本犬種と似た特徴を持つ犬種を紹介します。

狆の性格

明るく穏やかな性格で、他の人や犬に対しても友好的な子が多いです。

しかし、急に知らない環境に来ると物怖じしてしまいます。警戒心が少し高いので、急な環境の変化には注意しましょう。

また、甘やかしすぎると自由奔放な性格になってしまうこともあるため、メリハリをもって接するように心がけましょう。

狆の毛色

ホワイトをベースとして、ブラックやレッドの斑が入ります。マズルから頭頂部にかけて広がりのある白いライン(ブレーズ)が特徴です。

公園で伏せをする狆

狆の飼い方

体格が小柄なこともあり、室内での遊びだけでも必要な運動量は確保できます。ただ、外気浴やストレス発散のために、毎日30分を目安に散歩させましょう。

短頭種のため暑さに弱く、特に夏の熱気には注意が必要です。屋内では常にエアコンで温度管理をし、屋外の散歩では日中を避け、冷却グッズなども利用しながら体温調節をサポートしてあげましょう。

狆のしつけ

明るく穏やかな性格で、基本的にしつけは入りやすいと言われます。ただ、甘やかしすぎるとマイペースで我が強く育ってしまうことがあるため、メリハリのあるしつけと社会化をしましょう。

特に幼犬期からの社会化(周囲の環境や人、犬に慣れさせる)は重要です。積極的に室内で来客と接したり、普段の散歩で人や犬と交流させましょう。いつもとは違うルートで散歩するなど、定期的に新しい経験させるのも効果的です。

ただし、犬との挨拶には注意が必要です。神経質な子や事情がある子もおり、急に犬同士を近づけると興奮して咬傷事故などにつながる可能性があります。

そのため、必ず相手の飼い主に了解をとった上で挨拶させましょう。両飼い主が注意して徐々に犬同士を近づけます。このとき、犬が嫌がる素振りを見せたら、すぐに犬同士を離すようにしましょう。

”多頭飼いの狆"

狆のお手入れ

本犬種は、下記の頻度を目安にお手入れしましょう。

ブラッシング 毎日
シャンプー 月1~2回
トリミング 不要

ブラッシング

狆は、散歩後などに毎日ブラッシングをしましょう。ブラッシングを怠ると毛玉が増えて皮膚への通気性が悪くなり、雑菌が繁殖しやすくなります。

基本的には、ピンブラシを利用してブラッシングした後、コームで整えてあげましょう。長毛のため、ブラシの通りを良くするために、グルーミングスプレーなどの利用もおすすめです。

また、ブラッシングのときには、顔周りの汚れ(食べかす、目やに、涙)もキレイにしてあげましょう。清潔な布やタオルで優しく拭きとり、雑菌の繁殖を防ぎます。

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シャンプー

シャンプーは、月1~2回を目安にしましょう。長い被毛に溜まった汚れを取り除き、皮膚病・ニオイ対策と被毛の美しさを保ちます。

特に狆は長毛種のため汚れが気になりますが、なるべく頻度は月1~2回程度にしましょう。シャンプーをしすぎると必要な油分までなくなり、かえって肌トラブルにつながります。

また、シャンプーは愛犬との良いスキンシップになります。サロンにお願いするだけでなく、飼い主自らもシャンプーしてあげるのがおすすめです。

シャンプーの注意事項は以下のとおりです。

水温🚿 犬の適温は約37~38℃
薬剤🧴 必ず犬専用の薬剤を!
乾燥💨 毛の根元まで入念に!

まず、シャワーの水温は37~38℃程度に設定し、シャワーヘッドを当てて優しくマッサージするように流します。なるべくお尻の方から徐々に濡らしてあげましょう。

シャンプーには、犬専用の薬剤を利用しましょう。人間用のシャンプーは犬の肌には刺激が強いため、利用を控えましょう。

シャンプー後は、入念に乾燥させましょう。湿気が残ると雑菌が繁殖しやすくなります。タオルドライの後に、ドライヤーで毛の根元から湿気を飛ばします。自宅での乾燥には、30分~1時間程度を見込みましょう。

トリミング

トリミングは、基本的には不要です。もしシャンプーに不安がある場合などは、定期的にサロンにシャンプーをお願いすると良いでしょう。

その他

歯磨き

歯磨きは、毎日するようにしましょう。定期的に歯垢を落とすことで、口臭や虫歯、歯周病の対策になります。

歯磨きの際は、小型犬用の歯ブラシや清潔なガーゼ・布で、飼い主がこまめに磨いてあげましょう。専用の歯磨きジェルなども市販されています。

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狆がかかりやすい病気の例

本犬種は、熱中症(ねっちゅうしょう)や短頭種気道症候群(たんとうしゅきどうしょうこうぐん)、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)、眼瞼内反(がんけんないはん)に注意が必要です。

熱中症(ねっちゅうしょう)

熱中症とは、高温多湿環境下において高体温状態と脱水により生じる全身性の疾患であり、緊急を要する疾患です。

熱中症を発症すると、全身のタンパク質に障害を及ぼします。これにより全身の臓器に悪影響を与え、最終的には死に至ります。

発症する原因には、下記が挙げられます。狆を含む短頭種や、既往症(肥満・心疾患・呼吸器疾患など)がある場合も発症リスクが高くなります。

  • 過度の運動または興奮
  • 高温多湿な環境
  • 放熱調節の低下

熱中症は30分程度の軽い運動でも発症する場合があり、夏場の散歩には注意が必要です。日差しが強い日には、地面付近の温度は40〜50℃になり、動物達にとってはかなりの高温となります。

夏場の散歩は、日中を避け、冷却グッズなどを利用するようにしましょう。

短頭種気道症候群
(たんとうしゅきどうしょうこうぐん)

短頭種にみられる呼吸器疾患の総称です。特に下記の3箇所に見られる病変を指します。

  • 鼻・口・喉(外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、咽頭・喉頭虚脱など)
  • 気管(気管低形成、気管虚脱など)
  • 肺(誤嚥性肺炎、非心原性肺水腫など)

症状としては、特にいびきのような呼吸をする場合は注意しましょう。呼吸困難などのより重篤な症状へと進行する可能性があります。

膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)

本疾患は、膝蓋骨に動揺または脱臼(特に内側への脱臼が多い)がみられるものです。原因の一つには、膝蓋骨(膝のお皿の骨)を受ける溝(大腿骨滑車)が浅くなることが挙げられます。

治療方法としては、生活に支障が出ていない状態であれば、通常は保存療法(運動制限・体重の減量・生活環境の改善など)で経過をみていきます。

しかし、下記のような症状が見られる場合は、外科手術が適応されます。

  • 脱臼による跛行が重度
  • 強い痛みをともなう
  • 成長期に脱臼が進行
  • 可動域が減少

また、外科手術も必ず治るわけではない為、術後のケアも重要となってきます。

眼瞼内反(がんけんないはん)

本犬種は、解剖学的(生まれつき)に内眼角(目頭)側のまぶたが、内側に巻き込まれていること(眼瞼内反)が多いです。

症状としては、皮膚の被毛が直接涙と触れて流涙を起こしたり、皮膚との摩擦により色素沈着を引き起こします。

手術による形成外科も可能ですが、眼球への障害がみられていない場合は、経過観察になることが多いです。まずは兆候がみられた段階で、獣医に相談するようにしましょう。

お手入れされる狆

狆の価格

購入価格 30万〜40万円 ※2
月間飼育費用(医療費含む) 平均13,815円(小型犬 n=308) ※3

※2 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2022年6月inuteマガジン編集部調べ
※3 出典:「令和3年(2021年)全国犬猫飼育実態調査」一般社団法人ペットフード協会

狆の歴史

狆の祖先犬は、中国から韓国を経由して渡来したチベタン・スパニエル系の小型短頭犬種であると言われます。見た目も似ているペキニーズとも血統的に近いと言われます。

文献によると、狆の祖先犬が最初に渡日したのは奈良時代(732年)であり、聖武天皇に献上されました。その後、約100年間に渡り、多くの狆が日本国内に入ってきました。

江戸時代、特に犬公方として有名な徳川綱吉の時代には、江戸城の室内愛玩犬(抱き犬)として飼育されてきました。1868年以降も引き続き上流貴族の愛玩犬として広く飼育されてきました。

日本から海外に送られた事例もあります。1613年にはキャプテン・サーリスが日本から英国に持ち帰ったり、1853年にはペリーも狆を持ち帰り、そのうち2頭をビクトリア女王に献上したと言われます。

公園を走る狆

監修者情報
獣医師 泉 雄介 先生
獣医師 泉 雄介 先生
ゆい動物病院 院長
 略歴 >>詳細はこちら
大学在学中に眼科学研究室に在籍。卒業後、一般診療に従事し、後に眼科専門病院にて眼科の知識・技術を深めた。2021年ゆい動物病院を開院
 一言 
動物たちと飼い主様を繋げられる病院を目指して「ゆい(結)」という名前を付けました。動物たちの繋がりを守れるように日々精進します。

参照文献

No. タイトル 出版社 著者・監修
1 「世界の犬種大図鑑」 誠文堂新光社 藤田りか子(著)
2 「いちばんよくわかる犬種図鑑 日本と世界の350種」 メイツ出版 奥田香代(監修)
3 「日本と世界の犬のカタログ」 成美堂出版 福山貴昭(監修)

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