
正式名称 | マルチーズ |
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英語名 | Maltese |
原産国 | イタリア |
カテゴリ | 小型犬 |
ズバリ一言 | 純白でカーリーな被毛が美しく くりくりな瞳はまるでお人形 人が大好きな甘えん坊です |
記事内容 | マルチーズの飼い方のコツや 病気の例などを紹介します🐶 |
マルチーズの特徴
マルチーズ(英語名:Maltese)は、潤んだ瞳に丸みのある顔立ちでぬいぐるみのような愛らしい顔立ちが特徴です。全身が純白の絹のような被毛におおわれています。
美しい見た目から、汚れや涙やけが目立つことがありますので、毎日ブラッシングをしたり、汚れを丁寧に拭き取ってあげるようにしましょう。
犬種標準のサイズ | 体高 25cm程度 |
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体重 | 2.0~3.0kg |
分類 | 小型犬 |
平均寿命 | 12~15年 |
価格相場 | 30万〜50万円 ※1 |
※1 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2021年9月inuteマガジン編集部調べ
マルチーズは身体が小さいため、可搬型のクレートなどを利用すれば、飼い主との旅行なども楽ちんです。吠え癖がつかないように気をつければ、公共交通機関も安心して利用できます。
マルチーズと似た特徴を持つ犬種として、下記の3犬種を紹介します。
- カーリー被毛の小型犬「ティーカッププードル」
- モフモフ感が印象的「ポメラニアン」
- 大きな耳と絹のような長毛「パピヨン」
マルチーズの毛色
絹糸のような純白の被毛が特徴です。少し茶色が交じる子もいますが、被毛の純白さ、美しさが品質のバロメータとされています。
被毛はシングルコートで、原産地は地中海のマルタ島で、温暖な気候に適しています。
カット次第では、色々なスタイルに変化します。犬用の装飾グッズなども活用しながら、可愛らしく着飾り、たくさんの愛情を注いであげましょう。
マルチーズの性格
気難しさがなく朗らかで、穏やかな性格ですが、とびっきりの甘えん坊です。いつでも飼い主と一緒に居たい!と言わんばかりに、活発な愛情表現をしてくれます。
適応能力に優れており、新しい環境でもそれとなく馴染むことができます。ただ、甘やかしてばかりだと攻撃的になったり、他の人や犬に対して吠えが出てしまうこともあるため、責任を持ってしつけをしましょう
マルチーズの飼い方
日々の運動量は、室内で遊ぶだけでも十分です。それでも気分転換や外気浴、社会化は必要なため、毎日30分程度は散歩に連れていきましょう。
マルチーズのしつけ
マルチーズは穏やかで甘えん坊の性格ですが、しつけや社会化がうまく行かないと攻撃的になったり、激しく吠えるようになってしまいます。
社会化のためには、前述の通り、毎日30分程度は、外に連れ出し、他の人や犬、周囲の環境に慣れさせるようにしましょう。
もし、マルチーズにむだ吠えや攻撃的な兆候が見えたら、飼い主が冷静に「それはいけないよ」と教えてあげましょう。子犬期から根気よくしつけることが重要です。
ただ、威圧的な叱り方をすると、犬の信用を失う可能性があるため、注意してください。
もし、しつけに不安があるときには、犬の幼稚園やトレーナーの支援を受けることもおすすめです。
マルチーズのお手入れ
マルチーズには、下記の頻度を目安に、被毛のお手入れをしてあげましょう。
ブラッシング | 1日1回 |
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シャンプー | 月に1回 |
トリミング | 月に1回 |
マルチーズの純白で美しい被毛は、同時に汚れが目立ったり、毛玉ができやすい側面もあります。特に散歩の後などに、毎日ブラッシングしてあげるようにしましょう。
その際には、涙やけや口元、身体の汚れも、柔らかい布で丁寧に拭き取ってあげるようにしましょう。
シャンプーは、毎月1回を目安にしましょう。トリミングと一緒にやってもらう子も多いですが、それ自体が良いスキンシップになるため飼い主がしてあげることもおすすめします。
シャンプーするときは、水温は人間の肌感覚よりもぬるめ(約37℃)に設定し、シャワーヘッドで、優しく身体をなでるように洗いましょう。
シャンプー薬剤は、必ず犬専用のものを利用します。犬の肌は人と比べて敏感なため、刺激が強い人間用の薬剤は利用しないようにしましょう。
シャンプーした後は、雑菌の増殖を防ぐためにしっかりと乾燥させましょう。マルチーズは被毛が長く乾きにくいため、特に注意が必要です。
吸水性の良いタオルで水気を取った後、ドライヤーで乾かします。必ず生え際までしっかりと湿気を取るようにしましょう。その際に、あまり温風を近づけると火傷してしまう可能性があるため注意しましょう。
トリミングも、月1回を目安に連れていきましょう。様々なカットスタイルがありますので、自分のお気に入りを見つけたり、ときに冒険してみたり、愛情を注いで愛犬を着飾ってあげましょう。
毛を伸ばしたい場合は毛先が汚れないように専門的な処理(ラッピング)が必要となります。顔まわりに毛がかかる場合は目に入らないよう、リボンなどでまとめてあげるようにしましょう。
マルチーズがかかりやすい病気の例
本犬種は、僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)や流涙症(りゅうるいしょう 別名:涙やけ)、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)に注意しましょう。
僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
心臓内の血液逆流を防ぐ弁(僧帽弁)の機能が弱まることで、一方通行であるはずの血流が一部逆流してしまう病気です。重症化すると肺から戻ってくる血流が滞り、肺に水が溜まって呼吸困難を示します(肺水腫)。
本犬種は、この僧帽弁の機能低下が遺伝的に発生する可能性(粘液腫性変性)があるとされています。また、本疾患は中高齢で出てくるうえに、見た目での変化がないため、注意が必要です。
本疾患の対策としては、動物病院での定期的な心臓検査を行い、兆候を発見することが必要です。
流涙症(りゅうるいしょう 別名:涙やけ)
本犬種は目頭(内眼角)から涙が漏れだすことによって、被毛の変色・悪臭・皮膚炎などを引き起こします。
原因は様々ありますが、本犬種は遺伝的に眼瞼内反(がんけんないはん:まぶたが眼球側への巻き込むこと)が発生しやすく、その際に目の周りの被毛を伝って涙が流れ出て行くことが多いです。
治療としては、流涙を軽減するために、眼瞼の形成手術などもあります。ただ、根治が難しいため日頃のケアが必要となることが多く、病気と向き合っていく必要があります。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
本疾患は、膝蓋骨(膝のお皿の骨)を受ける溝(大腿骨滑車)が浅くなることなどによって、膝蓋骨に動揺または脱臼がみられるものです。
治療としては、生活に支障が出ていなければ保存療法(運動制限・体重の減量・生活環境の改善など)で経過をみていきます。
しかし、下記の場合は、外科手術が適応されます。外科手術も必ず治るとは限らず、術後のケアも重要となります。
- 脱臼による跛行が重度
- 疼痛が頻回にわたる
- 成長期における脱臼の進行
- 膝関節の可動域の減少
特に普段とは違うしぐさや異変を感じたら、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。
マルチーズの価格
購入価格 | 30万〜50万円 ※2 |
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月間飼育費用(医療費含む) | 平均12,122円(小型犬 n=539) ※3 |
※2 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2021年9月inuteマガジン編集部調べ
※3 出典:「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」一般社団法人ペットフード協会
マルチーズの歴史
マルチーズの原産地は、イタリアの南、地中海に浮かぶ現在のマルタ共和国のマルタ島とされています。マルチーズはほかのミニチュアドッグのように選択交配で小さくなったものではなく、最初から小さい犬であったため、世界最古の愛玩犬と呼ばれています。
その歴史は長く、紀元前1500年頃、地中海のマルタ島にフェニキア人の船乗りが持ち込んだ犬が祖先犬と言われています。実はイソップ物語にも登場し、「長い船旅をする船員のペット」として紹介されています。
その後、シチリア島を経てフランスに紹介されました。フランスでは、15世紀頃から貴婦人たちの抱き犬として愛されました。19世紀には、イギリスのビクトリア女王がマルチーズを飼っていたことから、一気に人気が沸騰しました。
一方、マルタ島に残った個体は、島の中での近親交配が繰り返され、性質が固定化されたことにより、特定の遺伝病や疾患にかかりやすくなりました。そして数が少なくなり、絶滅の危機さえあったそうです。
初期のマルチーズは白以外の色もあったようですが、近親交配を繰り返すうちに、白い毛色で固定されてしまったと言われます。
マルチーズが日本に入ってきたのは1960年頃と言われ、1968年から17年間、登録件数首位の人気犬でした。
参照文献
No. | タイトル | 出版社 | 著者・監修 |
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1 | 「世界の犬種大図鑑」 | 誠文堂新光社 | 藤田りか子(著) |
2 | 「いちばんよくわかる犬種図鑑 日本と世界の350種」 | メイツ出版 | 奥田香代(監修) |
3 | 「日本と世界の犬のカタログ」 | 成美堂出版 | 福山貴昭(監修) |