
正式名称 | ポメラニアン |
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英語名 | Pomeranian |
原産国 | ドイツ |
カテゴリ | 小型犬 |
ズバリ一言 |
ふわふわでミニサイズ いつも一緒にいたい甘えん坊 物覚えが良いお利口さんです |
記事内容 |
ポメラニアンの特徴や飼い方のコツ 歴史や病気の例などを紹介します🐶 |
ポメラニアンの特徴
ポメラニアン(英語名:Pomeranian)は、ドイツ原産の小型犬種で、まん丸の瞳と小さい立ち耳、とがったマズルが特徴です。
ひと目見てわかる「ふわふわ感」は小型犬種No.1です。尾や四肢までボリュームのあるダブルコートの被毛でおおわれています。
毎日のブラッシングや月に1回のシャンプーなど、こまめにケアしましょう。毛が生え変わるためトリミングの必要はありませんが、足裏の毛などはこまめにカットし、足を滑らせないように注意しましょう。
犬種標準のサイズ | 体高 20cm程度 |
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体重 | 2.0~3.0kg |
分類 | 小型犬 |
平均寿命 | 12~15年 |
価格相場 | 35万〜45万円 ※1 |
※1 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2021年9月inuteマガジン編集部調べ
ポメラニアンは、軽量な小型犬であるため、専用のキャリーバッグ等で一緒に移動しやすい良さがあります。
ただし、移動の最中に吠えて周囲に迷惑をかけたり、急に飛び出してしまうと危険です。子犬の頃から周囲の環境や他の人、犬に慣れさせておきましょう。
本犬種と似た特徴を持つ犬種として、下記の3犬種を紹介します。
ポメラニアンは小型のスピッツ種で尖ったマズルを持ちます。同じスピッツ種には、上記のサモエドやシベリアンハスキーなどが挙げられます。
スピッツ種でも特にポメラニアンと日本スピッツは、ルーツが同じで見た目が似ています。ポメラニアンと日本スピッツの違いは、日本スピッツの方が一回り大きく(体重6~11kg)、マズルが長い(よりキツネ顔)傾向があります。
近年では、ポメラニアンの可愛さを活かしたミックス犬として、ポメプー(✕トイプードル)、ポメ柴(✕柴犬)、ポメチワ(✕チワワ)、ポンスキー(✕ハスキー)などが登場しており、犬種の垣根が曖昧になってきています。
ポメラニアンの性格
素直で明るく遊び好きな子たちで、忠誠心のある良き家族の一員となります。また、とても利口で周囲の状況判断にも長けた犬種です。ただ、「やたらと嬉しがってしまう性格」が裏目に出てストレスにのまれやすい場合があるため、注意しましょう。
一方で、負けん気が強い一面もあります。自分の大きさをわかっているのかいないのか、人間や大型犬など、自分より大きい相手に対しても気負けしない性格です。
また、警戒心が強く、興奮すると吠えやすい傾向があります。そのため、「ポメラニアンは性格が悪い、凶暴そう」と言われることもありますが、子犬の頃からしつけをして人や犬に慣れさせれば、問題が生じることは少ないです。
ポメラニアンの毛色
単色とバイカラーの個体がおり、様々な色味があります。具体的にはホワイト、クリーム、オレンジ、ブラウン、チョコレート、ブラックなど、10種類以上と言われます。
国内では、白系~クリームのポメラニアンが多いですが、チョコレートのようにブラウンが強かったり、黒系のポメラニアンもいます。
また、ウルフセーブルと呼ばれる色合いもあります。希少ですが、ポメラニアン本来の色合いと言われ、シルバーやグレーの色味に黒の差し色が入った、オオカミのようないぶし銀の色合いを指します。
全身ダブルコートの被毛におおわれており、特に首の周りのたてがみ様の豊かな被毛も目立ちます。被毛の存在感から、毛の色味次第で個体ごとに全く違う印象を受けるのもポメラニアンの特徴です。
ポメラニアンの飼い方
運動量としては屋内で飼い主と遊ぶ程度で十分ですが、社会化や気分転換のため、毎日30分くらい散歩に行くようにしましょう。
ダブルコートで毛量が多いため、寒さに強く、暑さに弱い犬種です。夏場の散歩は、時間帯を選んだり、冷却グッズなどで対策してあげましょう。被毛のお手入れも欠かさず、毎日ブラッシングするようにしましょう。
また、歯周病予防のためにも、毎晩、犬用の歯磨きをしてあげるようにしましょう。長寿の個体もいますが、何より健全な歯を保つことがとても重要です。
ポメラニアンのしつけ
ポメラニアンは、活発さと賢さを兼ね備えた犬種です。ただ、警戒心が強いため、他の人や犬を敵と認識すると、興奮して吠えやすくなる傾向にあります。
このようなむだ吠えの癖がつかないように、子犬の頃から周囲の環境や人、犬に慣れさせておくことが重要です。前述の通り、毎日30分程度でも散歩に行き、外の環境に慣れさせるようにしましょう。
もし、むだ吠えの傾向が出る場合は、飼い主が落ち着いて注意し、吠えを我慢できたときにはご褒美をあげて褒めてあげましょう。これにより、「吠えを我慢することで、自分に良いことが起こる」と理解し、少しずつ改善していきます。
また、来客の多い家などでは、訪れた人から、毎回おやつをあげてもらうことも効果的です。飼い主が工夫しながら、根気よく人に慣れさせてあげましょう。
ポメラニアンのお手入れ
全身がダブルコートの被毛におおわれており、長毛ストレートのオーバーコートと、短毛で厚い綿毛のようなアンダーコートを持ちます。また、首の周りには、たてがみ様の豊かな被毛が生え揃います。
飼い主は、こまめに被毛のお手入れをしてあげるようにしましょう。
ブラッシング | 1日1回 |
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シャンプー | 月1回 |
トリミング | 基本的に不要 |
ポメラニアンの被毛は、特によく動く部分は絡まって毛玉になりやすかったり、汚れてしまったりします。基本的には毎日、ブラッシングしてあげましょう。特にいっぱい遊んだり、外を散歩した後には、汚れを拭きつつ、入念にブラッシングしてあげます。
また、春と秋に換毛期(季節に合わせて毛が生え変わる時期)を迎えます。この時期は1ヶ月程度、抜け毛が増えるため、特にこまめなブラッシングが必要です。毎日朝夕2回など、頻度を増やして対応しましょう。
ブラッシングには、複数の種類のブラシを使うことがおすすめです。絡まっている部分をスリッカーブラシなどでほぐし、全体をブラッシングしてからコームで整えるようにするのがおすすめです。スリッカーブラシは先端がとがっているため、肌を傷つけないようペン持ちで優しく扱いましょう。
ブラシが通りにくいときには、犬のブラッシング用のスプレーや、ローションなども販売されています。効果的に利用してキレイに整えてあげましょう。
毛が生え変わる犬種ですので、トリミングは基本的には不要です。逆に、切りすぎると毛が伸びにくく、体温を調節しづらくなる可能性があるので注意しましょう。
ただ、足裏とお尻については、適宜で被毛をカットしてあげることがおすすめです。足裏は、歩くときに踏ん張りが効かずに転倒して怪我をしないように、またお尻は排泄物が付着して細菌等が繁殖することを防ぐためです。
部分的なカットについては、ブラシやハサミ、バリカンを使って、飼い主自身が行うこともできます。落ち着きのない子は、ハサミより安全機能のついたバリカンが良いでしょう。不安な場合は、部分カットだけでもトリマーに依頼することができます。
ポメラニアンがかかりやすい病気の例
本犬種は、成長ホルモン反応性皮膚症(別名:アロペシアX、ポメラニアンの脱毛症)や膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)、骨折・脱臼(こっせつ・だっきゅう)、白内障(はくないしょう)に気をつける必要があります。
成長ホルモン反応性皮膚症
(別名:アロペシアX、ポメラニアンの脱毛症)
本疾患は、胴体や尻尾の脱毛、色素沈着が症状として現れます。顔や手足には脱毛は生じません。
傾向として、年齢の若い(1-5歳ほど)オスに多いと言われます。発症の詳細なメカニズムは不明とされますが、男性ホルモンの影響が示唆されています。
本疾患は他の病気を誘発・併発したりせず、寿命に影響を及ぼすものではありません。そのため、美容的な観点で気にしない場合は、無治療となります。
皮膚の露出にともなう異常(乾燥など)が見られた際には、保存療法(サプリメント、保湿剤など)を行います。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
本疾患は、膝蓋骨(膝のお皿の骨)を受ける溝(大腿骨滑車)が浅くなることなどが原因で、膝蓋骨に動揺または脱臼がみられるものです。
本疾患を発症した場合、生活に支障がない場合は、保存療法(運動制限・体重の減量・生活環境の改善など)で経過をみます。しかし、下記の場合は外科手術が適応されます。
- 脱臼による跛行が重度
- 疼痛が頻回にわたる
- 成長期における脱臼の進行
- 膝関節の可動域の減少
たとえ外科手術を施しても必ず治るとは限らず、術後のケアも重要となります。
早期発見が重要なため、普段とは違うしぐさや異変を感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
骨折・脱臼(こっせつ・だっきゅう)
本犬種は活動性が高いため高所からの転落や、足元で踏みつけてしまう事故など外的要因による骨折・脱臼で来られる患者さんが多く見受けられます。
原因としては、体格が大きい相手に対してもひるまず近づいてしまう性格が挙げられます。生活と遊びの区別をつけさせるしつけや、不動化できるコマンド(「オスワリ」、「マテ」など)を覚えさせることで不慮の事故を防ぐことが出来ます。
白内障(はくないしょう)
本疾患は、眼内の水晶体(レンズ)が濁ることを指します。進行すると、眼内で炎症を引き起こし、他の眼疾患を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
特に、若齢期に起きる白内障は進行が早い子が多く、水晶体の膨化・破裂に伴う強い炎症や網膜剥離などを引き起こす事があり注意が必要です。
もし、眼を見て濁りを感じた場合、(特に若い子は)すぐに病院へ相談しましょう。
ポメラニアンの価格
購入価格 | 35万〜45万円 ※2 |
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月間飼育費用(医療費含む) | 平均12,122円(超小型犬 n=539) ※3 |
※2 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2021年9月inuteマガジン編集部調べ
※3 出典:「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」一般社団法人ペットフード協会
ポメラニアンの歴史
ポメラニアンの祖先犬は、アイスランドやラップランドのソリ犬であるサモエドなどのスピッツ族と言われます。原産地である、ポメラニア地方(ドイツとポーランドにまたがる地域)で、交配され小型化された後に、世界各国に広まりました。
19世紀にはイギリスのビクトリア女王が、イタリアからイギリスにポメラニアンを持ち帰り、愛好されたことをきっかけに、一大ブームとなりました。
なんと当時は、女王が自ら繁殖、改良を行ったとされます。欧州各地から毛色の異なるポメラニアンを導入し、自身の犬舎で品種改良や被毛カラーのバリエーションを増やすなどポメラニアンの発展に寄与しました。
女王の晩年には、愛犬のポメラニアンが枕元で看取ったと言われています。熱心な愛犬家であったビクトリア女王、その貢献なくして今のポメラニアンはなしえなかったと言って過言でないでしょう。
ポメラニアンとの楽しい日々を
モフモフの被毛にキュルッと丸い目、愛らしい姿に一度は飼ってみたい!と憧れた人も多いのではないでしょうか。素直で活発、飼い主に忠実な性格もあり、世界的に人気の高い犬種です。
吠え癖がつかないように気をつければ、気軽に一緒にお出かけできる良きパートナーになるでしょう。ぜひポメラニアンの特徴やお手入れの注意点などを知り、潤いに満ちた日々を送ってください。
参照文献
No. | タイトル | 出版社 | 著者・監修 |
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1 | 「世界の犬種大図鑑」 | 誠文堂新光社 | 藤田りか子(著) |
2 | 「いちばんよくわかる犬種図鑑 日本と世界の350種」 | メイツ出版 | 奥田香代(監修) |
3 | 「日本と世界の犬のカタログ」 | 成美堂出版 | 福山貴昭(監修) |