
正式名称 | ビーグル |
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英語名 | Beagle |
原産国 | イギリス |
カテゴリ | 中型犬 |
ズバリ一言 |
大きなたれ耳と筋肉質な身体 嗅覚が鋭く検疫探知でも活躍 スヌーピーのモデル犬です |
記事内容 |
ビーグルの飼い方のコツや、 病気の例などを紹介します🐶 |
ビーグルの特徴
ビーグル(英語名:Beagle)は、顔立ちは大きな垂れ耳と長いマズルが特徴的、身体は筋肉質で骨格もしっかりしていて、意外と大きく見えます。スヌーピーのモデルとなった犬としても有名です。
性格は陽気でやんちゃ、遊ぶときはとてもエネルギッシュに遊びます。ドッグラン等で活発に遊ぶ姿を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
遺伝的に嗅覚が優れ、検疫探知犬としても活躍しています。国内では主に成田空港、羽田空港で活動しているようですので、時折見かけることがあるかもしれません。
興奮すると、止めどなく吠え続ける子がいます。普段の穏やかな性格からは想像できないほど吠える場合があるため、飼い主は意識的に社会化としつけを心がけましょう。
犬種標準のサイズ | 体高 33cm~48cm |
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体重 | 8kg~14kg |
分類 | 中型犬 |
平均寿命 | 12年~15年 |
価格相場 | 20万〜40万円 ※1 |
※1 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2022年4月inuteマガジン編集部調べ
サイズや被毛などの特徴が、ビーグルと近しい3犬種を紹介します。犬種ごとに、特有の性格や気をつけるべき点などがありますので、ぜひ自分にピッタリの犬種を探してみてください。
- 無限の体力!「ジャックラッセルテリア」
- 胴長の牧牛犬「ウェルシュ・コーギー」
- 大きな垂れ耳「イングリッシュ・コッカー・スパニエル」
ビーグルの性格
ビーグルは、やんちゃで陽気、おちゃめな性格の子が多いです。しっぽをフリフリしながら、遊ぶときは思いっきり遊びたがります。
一方で、興奮しやすい傾向にあり、ひとたび吠え始めると、矢継ぎ早に吠え立てて周囲を困らせてしまう場面も見られます。そのため、パピーの頃からのしつけと社会化には注意が必要です。
協調性は高い子たちですが、逆に留守番などが苦手です。家族が長時間帰ってこないと気持ちが不安定になってしまいます。迎え入れる際には、家族のスケジュールもできるだけ調整してあげましょう。
ビーグルの毛色
大きく分けて3種類の色合いがあります。
- ハウンドカラー(トライカラー)
- レッド&ホワイト
- レモン&ホワイト
この中では、特にハウンドカラーのビーグルが多く、日頃から目にする機会もあるかと思います。
ぜひペットショップや地域の公園など、身近な環境にいる異なる色合いのビーグルを探してみてください。
ビーグルの飼い方
普段から活発で元気いっぱい、エネルギッシュな犬種です。肥満防止のためにも、毎日2回、朝夕それぞれ30分以上は散歩に連れて行ってあげましょう。
また、ビーグルは食欲旺盛で、盗み食いの常習犯として知られます。食事は毎回規定した分量を与えるようにし、おやつはほどほどにし、手の届く範囲には置かないようにしましょう
ビーグルのしつけ
興奮しやすい傾向にあり、機関銃のように吠え立てる子も居ます。家庭犬としては、近所迷惑になったり他の子とのトラブルにもつながる可能性もあります。興奮と吠えを抑制できるよう、子犬の頃からしつけと社会化を心がけましょう。
トレーニング
興奮状態でも必ず飼い主の「マテ」の指示が入るように根気よく訓練しましょう。
日頃から、おやつを与えるときや遊びで興奮するときなどに、すかさず「マテ」の指示を出して静止させるようにします。我慢できたときには存分にほめてご褒美をあげます。根気よく続けて、「マテ」に従うことが、自分にとって嬉しいことだと認識させて習慣化させましょう。
社会化
周囲の環境や他の人、犬に慣れさせることを社会化と言います。屋外の環境でも落ち着いて飼い主の指示を聞けるように、子犬の頃から意識的に社会化をしてあげましょう。
なるべく子犬の頃から積極的に色々な場所に連れて行き、他の人や犬と会わせて慣れさせます。これを継続することで、慣れない環境でも落ち着きを保ちやすくなります。
ただし、犬同士の挨拶マナーには注意しましょう。神経質な子やヒート中の女の子などもいるため、不用意に犬同士を近づけてはいけません。
挨拶させるときは、必ず事前に相手の飼い主の了解をとりましょう。両飼い主が細心の注意を払い、少しずつ犬同士を近づけます。もしどちらかが嫌がる素振りを見せたら、すぐに犬同士を離すようにしましょう。
ビーグルのお手入れ
下記の頻度を目安に、お手入れしてあげるようにしましょう。
ブラッシング | 週2~3回 |
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シャンプー | 月1回程度 |
トリミング | 不要 |
ブラッシング
ビーグルは、短毛のダブルコートで抜け毛が多い特徴があります。ブラッシングは基本的に週2~3回、年2回の換毛期には毎日しましょう。汚れと抜け毛を落とし、皮膚を清潔に保つことが目的です。
短毛種のため、ブラッシングにはラバーブラシを使ってあげることがおすすめです。ブマッサージの効果も期待でき、血行促進につながります。
シャンプー
シャンプーは、毎月1回を目安にしてあげましょう。日頃溜め込んだ汚れを洗い流すことで、肌トラブルやニオイの対策になります。シャンプーの注意事項は下記のとおりです。
水温🚿 | 犬の適温は約37~38℃ |
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薬剤🧴 | 必ず犬専用の薬剤を! |
乾燥💨 | アンダーコートまで入念に! |
シャワーの水温は37~38℃程度にし、ヘッドで全身をなでるように流します。また、シャンプーには犬専用のものを利用しましょう。人間用は刺激が強いため、利用を控えましょう。
シャンプー後は、しっかり乾燥させて、雑菌の繁殖を防ぎます。ビーグルは短毛ですが、タオルドライの後にドライヤーで毛の根元まで湿気を飛ばすようにしましょう。
なお、シャンプーは月1回程度の目安を守りましょう。高頻度にシャンプーし過ぎると、油分が減りすぎることで、かえって肌トラブルにつながります。
トリミング
ビーグルはトリミングの必要はありません。もしシャンプーに不安がある場合は、シャンプーだけサロンにお願いすることもできます。
その他
歯磨き
歯磨きは、夕食後や寝る前など、毎日してあげましょう。人間と同様に、定期的に歯垢を落とすことで口臭対策や、虫歯や歯周病の予防につながり、犬の健康寿命を延ばすことができます。
歯磨きには、専用の歯ブラシで磨いたり、苦手な子はガーゼや布を指に巻いて磨くこともできます。市販の専用歯磨きジェルなども活用しつつ、効果的に歯垢を落としましょう。
耳掃除
本犬種の特徴でもある大きな垂れ耳には汚れが溜まりやすいため、定期的に耳掃除をしましょう。
耳掃除には、犬専用のイヤークリーナーなどを利用します。コットンなどに染み込ませて優しく汚れを拭き取ってあげましょう。
普段から、食べ物や汚れが付着しないように、スヌードを利用することも効果的です。スヌードは、実用性だけでなく、おしゃれなデザインも人気で、利用が増えてきています。
ビーグルがかかりやすい病気の例
本犬種は、頸部および胸腰部の椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)や緑内障(りょくないしょう)、瞬膜腺脱出(チェリーアイ)、副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう:クッシング病)、甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)、肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)に注意しましょう。
頸部および胸腰部
椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)
本疾患は、椎間板が背側(脊髄側)に逸脱することで発症します。ビーグルは、椎体(背骨)の間にある軟骨(椎間板)が遺伝的に弱くなることがあり、発症リスクが高いとされます。
神経が圧迫されることで、発症部位から尾側に、疼痛などのさまざまな症状がみられます。活動性の低下・食欲不振や神経障害による歩行困難(後ろ足を引きずる・横たわって動かないなど)がみられます。
神経障害が強い場合は、早急なMRI検査・手術が必要となります。対応が遅れると、後遺症が残ったり、脊髄軟化症(圧迫による炎症が神経を伝わって脳まで到達)という病態になり死に至ることもあります。
食欲不振や歩行困難な状況など、異変に気づいたときは、早急に動物病院に相談しにいきましょう。
緑内障(りょくないしょう)
本疾患は、眼内を流れる液体(眼房水)の排出量が低下し、眼内圧が上昇することで起こります。ビーグルは遺伝的に、眼房水の排出口(隅角)が形成不全になりやすいとされています。
緑内障は眼圧の上昇に伴い、失明(24-72時間で光を失う)や痛みをともない、緊急性の高い疾患です。目を瞑って気にしている場合は、早急に動物病院へ連れて行きましょう。
瞬膜腺脱出(チェリーアイ)
本疾患は、眼の「瞬膜」が外反(外に反り返る)することで、根元にある瞬膜腺が飛び出して見える疾患です。「瞬膜」とは、目頭にある3つ目の瞼(まぶた)のことを指します。
2歳齢までに片目または両目にみられることが多いです。中高齢で発症する場合は、腫瘍などの他の眼疾患をともなう可能性があるため、注意が必要です。
また、本疾患を放置すると、涙の分泌機能が低下することにより、将来的に乾燥性角結膜炎(いわゆるドライアイ)を起こしやすくなります。
治療には、まずは外反した瞬膜を無麻酔下で元に戻す処置を行います。その後も外反を繰り返す場合は、全身麻酔下で瞬膜腺埋没法(ポケット法)・瞬膜腺固定法(アンカーリング法)などの方法を用いて、外科的整復を試みます。
目頭に赤いふくらみが出来ると驚くかと思いますが、慌てずに動物病院へ相談しましょう。
副腎皮質機能亢進症
(ふくじんひしつきのうこうしんしょう:クッシング病)
左右の腎臓近くに副腎と言われるホルモンを分泌する臓器があります。本疾患は副腎からホルモンが過剰に産生された状態の事を言います。本犬種は、他と比較しクッシング病になりやすいと言われています。
病態を大きく分けると2つあります。
- 下垂体性クッシング病(85%)
- 副腎腫瘍(15%)
下垂体性クッシング病とは、脳の中にある下垂体(副腎からのホルモン分泌を促す場所)が腫瘍化し、副腎に対して過剰にホルモン分泌を促してしまうことで起こります。
副腎腫瘍とは、副腎自体が腫瘍化し、ホルモンを過剰分泌してしまうことで起こります。
症状としては、多飲多尿、多食、肥満、皮膚の脱毛・菲薄化・裂傷など、さまざまです。
中高齢から発症することが多く、初期の頃は病態に気付きにくいため、ペットドックなどの健康診断で早期発見・早期治療を目指しましょう。
甲状腺機能低下症
(こうじょうせんきのうていかしょう)
本疾患は、甲状腺ホルモン(全身の代謝を活性化させるホルモン)が欠乏することで、代謝が低下し、さまざまな症状が表れます。
首にある甲状腺(ホルモンを分泌する臓器)の組織が破壊されることで発症しますが、その原因は免疫が関わる場合や特発性(原因不明)など、さまざまな説があります。
代表的な症状としては、下記のとおりで多岐にわたります。
- 身体の脱毛
- 尻尾の脱毛(ラットテイル)
- 皮膚色素沈着
- 難治性の皮膚炎
- 活動性の低下
- 覇気のない顔貌
- 肥満
発症のタイミングとしては、中高齢が多いため、気づきにくい場合があります。ホルモン濃度を測定することで診断できるため、ペットドックなどの健康診断を受ける際に、獣医に適時相談することがおすすめです。
肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)
肥満細胞(アレルギーに関わる細胞)が増殖し、腫瘍化したものです。皮膚から発生するものがほとんどですが、稀に消化器などの内臓にも見られます。形状や進行速度は、状況によってさまざまです。
本疾患は、細胞自体が特殊な形態をとるため、細胞診検査で比較的容易に診断が可能です。
ただ、検査時に腫瘤に触ったり、針を刺したりする刺激により、細胞内のアレルギー物質が漏れだす場合があります。これにより、腫瘍周辺の浮腫みや赤み・血圧低下・嘔吐などの症状(ダリエ徴候)が出る場合があるため、注意が必要です。
治療には、外科的切除が主な選択肢となります。病変部だけでなく、その周囲まで腫瘍細胞が入り込んでいる可能性が高いため、病変部を含めて大きく切除する必要があります。
皮膚にしこりを見つけたときは不用意には触らず、すぐに動物病院へ相談しましょう。
ビーグルの価格
購入価格 | 20万〜40万円 ※2 |
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月間飼育費用(医療費含む) | 平均12,563円(中・大型犬 n=109) ※3 |
※2 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2022年4月inuteマガジン編集部調べ
※3 出典:「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」一般社団法人ペットフード協会
ビーグルの歴史
Peanutsに登場するスヌーピーは「世界一有名なビーグル犬」と言われます。イギリスの小説「カンタベリー物語」でもビーグルは登場し、ここでは「小さなハウンド犬」と呼ばれたとおり、元来は群れで狩りをする猟犬です。
ビーグルは、紀元前からギリシャでウサギ狩りに使われていた猟犬が祖先と言われています。1475年にはすでに存在した記録が残っており、16世紀にはイギリスで猟犬として活躍しました。
狩りをする際には、延々と鳴き続けながら、集団で獲物を追い詰めていく習性がありました。現在、ビーグルの多くは家庭犬として迎え入れられますが、社会性・協調性を持つ傍ら、吠え癖が付きやすいとされる所以です。
ビーグルは、家庭犬の他にも、その鋭い嗅覚を活かして検疫探知犬としても活躍しています。もともと、ブラッド・ハウンドの血が入っていることから、その鋭敏な嗅覚を得たと言われます。
参照文献
No. | タイトル | 出版社 | 著者・監修 |
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1 | 「世界の犬種大図鑑」 | 誠文堂新光社 | 藤田りか子(著) |
2 | 「いちばんよくわかる犬種図鑑 日本と世界の350種」 | メイツ出版 | 奥田香代(監修) |
3 | 「日本と世界の犬のカタログ」 | 成美堂出版 | 福山貴昭(監修) |