
正式名称 | シー・ズー |
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英語名 | Shih Tzu |
原産国 | 中国 |
カテゴリ | 小型犬 |
ズバリ一言 |
美しい長毛にキュルッとした瞳 小柄でも骨太で筋肉質です! 元気で遊び好きな子たちです |
記事内容 |
シー・ズーの飼い方のコツや歴史、 よくある病気などを紹介します🐶 |
シーズーの特徴
シーズー(英語名:Shih Tzu)は、中国宮廷で神の使者、聖なる犬として大切にされていた高貴な犬種です。シーズーの名前の由来は、中国の神聖な動物「獅子」から「獅子狗(シーズークゥ)」と名づけられました。
当時は「ペキニーズ」と同様に、中国の宮廷で皇族や貴族だけが飼える犬でした。
体格は小柄ですが、実は骨格も筋肉もしっかりしています。フサフサの長毛からは、気品ある雰囲気が漂います。鼻の周りの被毛は、四方に広がって生えるので、キクの花のように見えます。
性格は、温和で遊び好きな子が多く、家族に対してはとても愛情深く接します。小さな体全体で感情を表現する姿は、とても愛らしいです。
犬種標準のサイズ | 体高 23~27cm |
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体重 | 5.0~7.0kg |
分類 | 小型犬 |
平均寿命 | 12年~16年 |
価格相場 | 25万〜40万円 ※1 |
※1 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2022年5月inuteマガジン編集部調べ
シーズーは小柄なため、飼い主と一緒に可搬用のキャリーケースで遠出することもできます。吠え癖がなければ、公共交通機関も安心して利用できます。可搬用のケースを選ぶ際には、軽量性と耐久性に気をつけるようにしましょう。
本犬種と近い特徴を持つ犬種を、下記に3種紹介します。
- 動く宝石と称される「ヨークシャーテリア」
- 奈良時代からの日本犬「狆」
- 元気いっぱいで遊び好き「ミニチュアシュナウザー」
シーズーの性格
元気で活発な面と、落ち着いて穏やかな面を合わせ持ち、ほかの人や犬にも友好的です。比較的に神経質な個体が少なく、家族に対しても愛情深く接することができます。
一方で、プライドが高く頑固な一面があるため、社会化やしつけは重要です。室内で甘やかしてばかりだと、排他的でわがままになりますので、子犬の頃から周囲の環境に慣れさせておきましょう。
シーズーの毛色
基本的にはあらゆる毛色が認められており、例えばゴールド、ブラック、ホワイト、ブルー、シャンパンなどの毛色を持つ子がいます。
シーズーの飼い方
社会化のためにも、毎日30分以上は散歩に連れていきましょう。特に子犬の頃から積極的に外の環境に触れさせ、慣れさせてあげるようにしましょう。
肥満防止のために、食事管理も重要です。一日の分量を守り、おやつの与え過ぎや、人間の高カロリー食を与えてしまわないように注意しましょう。
本犬種は、長毛のお手入れが必要になります。毎日のブラッシング、および毎月のトリミングが必要です。
シーズーのしつけ
しつけと社会化は、子犬の頃から意識的に行いましょう。シーズーは、甘やかすとわがままになりがちです。元々、落ち着いた性格ですが、個体差があり、ときに吠え癖のある子もいます。
しつけには、メリハリと一貫性、そして飼い主の根気が必要です。決して感情的にならず、冷静に一貫したコマンドで指示を出し、従ったときには思いっきり褒めてご褒美をあげましょう。
社会化には、毎日の散歩で外の環境に慣れることが必要です。特に人や犬にも積極的に接するようにしましょう。ただし、犬同士の挨拶は、事前に相手の飼い主に確認した上で、注意深く行いましょう。
シーズーのお手入れ
本犬種は、下記の頻度を目安にお手入れしてあげましょう。
ブラッシング | 1日1回 |
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シャンプー | 月1回 |
トリミング | 月1回 |
ブラッシング
シーズーの被毛は上毛と下毛のダブルコートです。長毛種のため抜け毛は少ないですが、下毛がとても細いため掃除は比較的に大変です。
また、オーバーコートを長毛にしている子は、毛玉ができやすいです。放っておくと毛玉が増えて手に負えなくなります。るため、それを防ぐ意味でも毎日のブラッシングは欠かせません。
そのため、ブラッシングは毎日行うようにしましょう。散歩後の習慣にすることで、室内での抜け毛対策にもつながります。
ブラッシングには、スリッカーブラシで死毛を除き、コームで整えます。このとき、スリッカーブラシは先が鋭いため、ペン持ちで優しく扱いましょう。ブラシが通りにくいときは、事前にグルーミングスプレーを利用し、コームでほぐすのがおすすめです。
シャンプー
シャンプーは、月1回を目安に行いましょう。シーズーは下記のトリミングにも行くため、シャンプーも一緒にしてもらうこともできます。
ただ、シャンプーは飼い主と愛犬のスキンシップにはとても良い機会です。ドッグランや散歩で汚れたときは、飼い主がセルフシャンプーしてあげるのもおすすめです。
トリミング
トリミングは、月1回を目安に連れていきましょう。瞳を傷つけないように目元の毛をカットしたり、夏場はサマーカットにするなど、愛犬の健康にも配慮したカットスタイルがおすすめです。
その他
被毛のケアと合わせて、肌のケアにも注意しましょう。目やにや涙、汚れは、乾いた柔らかい布などでこまめに拭き取りましょう。放置すると、菌が繁殖してしまいます。
また、歯のケアも大切です。小型犬用の歯ブラシや清潔なガーゼなどで、毎日磨いてあげましょう。シーズーは長寿の子も多く、健康寿命を延ばすことにつながります。
シーズーがかかりやすい病気の例
本犬種は、僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)や皮膚疾患(ひふしっかん)、膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)に注意が必要です。
また、複数の眼疾患にも注意が必要で、白内障(はくないしょう)や緑内障(りょくないしょう)、網膜剥離(もうまくはくり)、乾燥性角結膜炎(かんそうせいかくけつまくえん)を起こしやすいと言われます。
僧帽弁閉鎖不全症
(そうぼうべんへいさふぜんしょう)
心臓内の血液逆流を防ぐ弁(僧帽弁)の機能が弱まることで、一方通行であるはずの血流が一部逆流してしまう病気です。
重症化すると肺から戻ってくる血流が滞り、肺に水が溜まることによる呼吸困難(肺水腫)を示します。
本犬種は、僧帽弁の機能低下が遺伝に関与している可能性(粘液腫性変性)が示唆されています。
病気自体が中高齢で出てくるうえに、見た目での変化がないため、定期的な心臓検査を受けるようにしましょう。
皮膚疾患(ひふしっかん)
シーズーは皮膚疾患の多い犬種として知られています。
症状や原因は多様で、マラセチアなどの真菌によるもの、内分泌疾患によるもの、食物アレルギーや接触アレルギー、原因不明のアトピーまで、多くの種類の皮膚病を好発します。
犬は毛に覆われているため、皮膚病の発症初期は気づかれない場合が多いです。
普段の生活で撫でてあげるときなどに、皮膚の状態を観察してあげることをおすすめします。
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
本疾患は、膝のお皿の骨(膝蓋骨)を受ける溝(大腿骨滑車)が生まれつき浅いことなどが原因で、膝蓋骨に動揺または脱臼がみられるものです。特に内側への脱臼が多いとされます。
発症した場合、生活に支障が出ていなければ運動制限・体重の減量・生活環境の改善などの保存療法で経過をみていきます。
しかし、下記のような症状が見られる場合は、外科手術が適応されます。
- 脱臼による跛行が重度
- 強い痛みをともなう
- 成長期に脱臼が進行
- 可動域が減少
また、外科手術も必ず治るわけではなく、術後のケアも重要となります。
白内障(はくないしょう)
白内障とは、眼内にあるピント調節を担うレンズ(水晶体)が白く濁った状態を指します。
白内障は混濁による視覚低下以外にも、進行にともなう眼内炎症(水晶体起因性ぶどう膜炎)や緑内障、網膜剥離などを併発することがあるため、注意が必要です。
瞳の中が白くなってきたと感じたら、早めに病院へ相談しましょう。
緑内障(りょくないしょう)
緑内障は、眼の中を流れる液体(眼房水)の排出量が低下し、眼内圧が上昇することで起こります。
シーズーは、眼房水の排出口(隅角)の形成不全が遺伝的に発生しやすいとされており、注意が必要です。
緑内障は眼圧の上昇に伴い、失明(24-72時間で光を失うと言われている)や痛みをともなうとされ、緊急性の高い疾患です。
目を瞑って気にする仕草に気づいたときは、なるべく早く病院に連れて行くことをお勧めします。
網膜剥離(もうまくはくり)
網膜とは眼の中で一番奥に存在し、眼に入ってきた光を感じ取る事で、映像を脳へと伝えて行く臓器です。
この網膜は、硝子体というゼリー状の構造物により、支えられている状態です。シーズーはこの硝子体が弱いため、網膜を支える力も弱いとされています。
網膜剥離は早期発見が難しい疾患です。片目のみの発症では、生活に支障が出ることが少ないため、発見時にはかなりの経過が経っていることが多いです。
網膜剥離は、現在手術で治療が出来る疾患です。早期発見・早期治療が重要なため、健康診断などで、眼の状態を定期的にチェックすることをお勧めします。
乾燥性角結膜炎(かんそうせいかくけつまくえん)
シーズーは、涙腺の欠損および形成不全から涙液成分の異常を示しやすいと言われています。
それにより、眼表面の乾燥・炎症が慢性化し、角膜潰瘍(かくまくかいよう)の再発や色素沈着などを起こします。
初期症状では、目ヤニが増えてきます。普段よりも目ヤニの量が多かったり、拭ってもすぐに目ヤニが溜まってしまう場合には、病院へ相談しましょう。
シーズーの価格
購入価格 | 25万〜40万円 ※2 |
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月間飼育費用(医療費含む) | 平均13,815円(小型犬 n=308) ※3 |
※2 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2022年5月inuteマガジン編集部調べ
※3 出典:「令和3年(2021年)全国犬猫飼育実態調査」一般社団法人ペットフード協会
シーズーの歴史
シーズーは、ラサアプソとペキニーズを交配して、19世紀頃に作出された犬種とされています。祖先の2犬種は、それぞれチベット、中国で、神の使いとして大切にされてきた由緒ある犬種です。
歴史的には、8世紀にチベットから献上されたチベタン・スパニエルを、中国王朝で繁殖・固定化したのがペキニーズで、その後、同じくチベットから16世紀頃にラサアプソが入り、ペキニーズを交配されて、シーズーが生まれました。
シーズーは、1930年に中国からヨーロッパに渡り、1960年代にはアメリカへ、そして日本へと紹介されて、世界的な人気犬種になりました。
参照文献
No. | タイトル | 出版社 | 著者・監修 |
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1 | 「世界の犬種大図鑑」 | 誠文堂新光社 | 藤田りか子(著) |
2 | 「いちばんよくわかる犬種図鑑 日本と世界の350種」 | メイツ出版 | 奥田香代(監修) |
3 | 「日本と世界の犬のカタログ」 | 成美堂出版 | 福山貴昭(監修) |