
正式名称 | ボーダー・コリー |
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英語名 | Border Collie |
原産国 | イギリス |
カテゴリ | 中型犬 |
ズバリ一言 |
ふわふわ被毛と愛らしい表情 運動神経と知性抜群の優等生 毎日元気に遊べるパートナーです |
記事内容 |
ボーダーコリーの特徴や飼い方のコツ 歴史や病気の例などを紹介します🐶 |
ボーダーコリーの特徴
ボーダーコリー(英語名:Border Collie)は、イギリス原産の中型犬で、均整の取れた滑らかな体つきをしています。長い尻尾とふわふわの毛並みが特徴で、高い学習能力と運動能力を持ちます。
全犬種の中で最も知能が高いとの研究も報告されており、飼い主との信頼関係を築ければ、トレーニングも仕事も着実にこなせる優秀な犬種です。
ボーダーコリーは、とにかくエネルギッシュな子たちです。毎日朝夕で各1時間以上の散歩や、定期的にボール遊びやドッグランでの自由運動など、日々の運動量を確保してあげることが重要です。
犬種標準のサイズ | 体高 53cm程度 |
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体重 | 14.0kg~23.0kg |
分類 | 中型犬 |
平均寿命 | 12年~16年 | 価格相場 | 30万〜40万円 ※1 |
※1 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2022年8月inuteマガジン編集部調べ
本犬種と類似した特徴を持つ犬種を紹介します。
ボーダーコリーの性格
基本的には温厚で聡明な性格で、遊び好きな子たちです。特に動くものを追いかける習性があり、広い場所でのボール遊びなどは大得意です。
また、知性に優れるだけでなく、粘り強いチャレンジ精神もあり、トレーニングの適性が高い犬種と言われます。
ただ、知性が高い分、しつけやトレーニングが不十分だと攻撃的になったり、言うことを聞かなくなる場合もあります。
飼い主は必ず、一貫性のあるしつけとトレーニングを心がけましょう。
ボーダーコリーの毛色
色合いは単色(ソリッドカラー)の子から2色(バイカラー)、3色(トライカラー)の子まで様々で、その毛色も多様です。
主な毛色としては、下記が挙げられます。国内では特にブラック&ホワイトが人気です。
- ブラック&ホワイト
- レッド&ホワイト
- ブラック&タン&ホワイト
- ブルーマール
上記以外にも、様々な色味の子がいます。ぜひブリーダーサイトや近所の公園などの身近な環境で、様々な毛色のボーダーコリーを探してみてください。
ボーダーコリーの飼い方
運動能力が抜群な犬種です。反射神経、敏捷性だけでなく、持久力も併せ持ちます。ドッグスポーツでも活躍し、アジリティーなど各部門での入賞も多いです。
ストレス発散と肥満防止のため、毎日朝夕で各60分ずつを目安に散歩しましょう。また、広い場所でのボール遊びやドッグランでの自由運動など、定期的に運動量を確保しましょう。
同時に、本犬種は高い知能をもちます。作業意欲を満たすために、知的な遊びも取り入れると良いでしょう。
たとえば、穴を空けたペットボトルからおやつを取り出させたり、コップに隠したおやつを見つけさせてみましょう。
なお、食欲旺盛なため、食事管理も重要です。食事の際には、毎回、規定の分量を与え、お菓子も高カロリーのものを与えすぎないようにしましょう。
ボーダーコリーのしつけ
学習能力が高く、一生懸命に飼い主の声に耳を傾けてくれます。日頃の生活で信頼関係を築くことができれば、しつけやトレーニングは容易です。
一方で、しつけが不十分な場合、自らの成功体験をもとに学習してしまいます。その結果、攻撃性や破壊行動が出る子もいます。
そのため、飼い主にも高い指示出しスキルが求められます。普段から一貫した指示を出し、一貫した基準で褒め・叱るようにしましょう。
たとえば、望ましくない行動(吠えや咬みなど)が出る場合は、必ず毎回、一貫した言葉(「No!」など)で注意するようにします。このとき、「やめて」「ダメ」など複数の言葉は用いないのがベターです。
以上の項目に注意して、飼い主は、子犬の頃からしつけと社会化を意識的に行うように心がけましょう。
しつけ
基本的に「マテ」の指示が入るように訓練しましょう。突発的な興奮でも制御できるよう、日頃から根気よく教えてあげる必要があります。
たとえば、ご飯や遊びなどで興奮するときに、毎回「マテ」の指示を出して静止させます。我慢できたら存分に褒め、ご褒美をあげます。
「マテ」に従うことで、嬉しいことが起こると繰り返し認識させ、習慣化させます。
社会化
子犬の頃から意識的に周囲の環境や人、犬に慣れさせるようにしましょう。これにより、人や犬に対して友好的になったり、屋外でも落ち着いて飼い主の指示が聞けるようになります。
社会化には、子犬の頃から色々な場所に連れて行き、他の人や犬と触れ合う環境を作りましょう。交流を通じて、社会性を身に着けていきます。
ただし、犬同士の挨拶マナーには注意しましょう。警戒心の強い子やヒート中の子などもいるため、不用意に犬同士を近づけてはいけません。
挨拶のときは、必ず事前に相手の飼い主の了解をとりましょう。両飼い主が注意を払い、少しずつ犬同士を近づけます。どちらかの犬が嫌がる素振りをしたら、すぐに距離を取るようにしましょう。
ボーダーコリーのお手入れ
ボーダーコリーはその美しい毛並みも特徴の1つです。日々のお手入れを欠かさないようにしましょう。
ブラッシング | 週2~3回 |
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シャンプー | 月1回程度 |
トリミング | 不要 |
ブラッシング
ボーダーコリーは、週に2~3回程度、ブラッシングをしてあげましょう。抜け毛や汚れを落とすことができ、肌を清潔に保つことができます。
シャンプー
月に1回を目安にシャンプーしてあげましょう。汚れが溜まると、雑菌が繁殖し、ニオイや肌トラブルの原因になります。
シャンプーの主な注意事項は下記のとおりです。
水温🚿 | 37~38℃が適切です。 |
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薬剤🧴 | 必ず犬専用のものを! |
乾燥💨 | 毛の根元まで入念に! |
水温はぬるめ(37~38℃)に設定して、弱めの水流でゆっくり流しましょう。シャンプーには、必ず低刺激性の犬専用の薬剤を利用しましょう。
ボーダーコリーの場合、お尻周りの飾り毛に汚れ(排泄物など)が付着しやすいので、注意して洗い流しましょう。
シャンプー後は、雑菌の繁殖を抑えるため、毛の根元から入念に乾燥させます。タオルドライのあとに、ドライヤーで乾かすのが一般的で、30分〜1時間くらいかかる場合もあります。
歯磨き
歯のケアも重要です。毎日、寝る前などに飼い主が歯磨きをしてあげましょう。
歯磨きには、子供用の歯ブラシやガーゼなどを用いて、優しく磨いてあげましょう。専用のジェルなども適宜利用し、効率的に口内衛生を保ちましょう。
ボーダーコリーがかかりやすい病気の例
本犬種は、コリー眼異常(こりーがんいじょう)や股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)、進行性網膜萎縮(しんこうせいもうまくいしゅく)、イベルメクチンおよびミルベマイシン中毒などが挙げられます。
コリー眼異常
(こりーがんいじょう 別名:コリーアイ)
眼の奥の血管および強膜(白い膜)が欠損することで起こる、先天性の眼異常のことを言います。これにより、眼の奥の膜が透けて見えたり、神経の欠損、網膜剥離や出血などが起こります。
症状としては、視覚に影響がないものから失明に至るまで様々です。そのため、病気として発見されないケースもあります。
本疾患はコリー犬種の遺伝性疾患であり、遺伝子検査によって診断が可能です。有効な治療方法や予防方法はないため、発症した際には、長期的なケアが必要になります。
股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)
本疾患は、股関節の形成が不十分なことで起こります。若齢(1歳以下)での発症が多いとされます。
症状としては、股関節が不安定になったり脱臼することで関節炎を引き起こし、歩行が困難になることもあります。
股関節の片側のみに発症した場合は、歩行の異常が見られます。両側に発症した場合は、前傾姿勢・歩幅の減少・すぐにしゃがみ込むなどの症状が見られます。
原因は、遺伝的な要因に加えて、肥満による体重増加や激しい運動による関節への負荷が挙げられます。
予防には、体重管理と適度な運動が重要です。獣医に相談の上、生活習慣の改善を心がけましょう。
進行性網萎縮
(しんこうせいもうまくいしゅく)
光を感じ取る網膜の遺伝性疾患です。数ヶ月から数年をかけて徐々に視覚が低下していきます。
本疾患は、普段の診察では網膜検査まで行わず、残念ながら発見が遅れることが多いです。
当疾患は有効な治療法はなく、進行抑制を期待して抗酸化作用のサプリメントを使用していくことが多いです。さらに白内障を誘発するため、定期的な眼内検査も必要となります。
初期症状として、夜盲症(暗闇で見づらくなる)から始まることが多いため、夕方の散歩や消灯後にだけ物にぶつかる様子があった際には、動物病院に相談へ行きましょう。
イベルメクチンおよびミルベマイシン中毒
イベルメクチン、ミルベマイシンは寄生虫の駆除薬です。寄生虫の神経に作用し、麻痺を起こさせることで死滅させる薬剤です。
本来、この薬は適正量で飲む分には哺乳類に影響を与えませんが、本犬種において遺伝子異常を持っている子に関しては、この神経毒性が生じやすいとされています。
毎年、夏の時期に投与するフィラリア予防の駆虫薬については、投与薬の種類に注意しましょう。
ボーダーコリーの価格
購入価格 | 30万〜40万円 ※2 |
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月間飼育費用(医療費含む) | 平均13,294円(中・大型犬 n=113) ※3 |
※2 参考:オンラインペットショップ等複数社の値段から算出 2022年8月inuteマガジン編集部調べ
※3 出典:「令和2年(2021年)全国犬猫飼育実態調査」一般社団法人ペットフード協会
ボーダーコリーの歴史
8世紀後半から11世紀にかけて、バイキングがスカンディナヴィア半島からイギリスに持ち込んだトナカイ用の牧畜犬が祖先とされています。その後、イギリスの牧羊犬やラフコリーの祖先犬と交配され、今の姿になりました。
ボーダーコリーのコリーは牧羊犬を、ボーダーは、「国境」を意味します。当時は、特にイングランドとスコットランドの国境付近の地域で、牧羊犬として活躍していたことに由来します。
FCI(国際畜犬連盟)に純血種として認定を受けたのは1987年であり、比較的新しい犬種です。というのも、当時は実務作業では有名でしたが、FCIもそれほどボーダーコリーという犬種自体に注目していませんでした。
しかし、牧羊使役犬として欧米から世界中に広まった後、ドッグスポーツや訓練競技会にも頭角を現し、その運動能力と知性から、やがてボーダーコリーが上位を独占するようになりました。
その人気に後押しされる形で、ドッグショーを主催する畜犬団体やFCIが相次いでボーダーコリーを犬種として公認するようになったと言われます。
日本国内には、毛織物を生産するための羊とともに、オーストラリアから輸入された牧羊犬が最初だと言われており、「戦前にはすでに国内に存在していたのではないか」という説もあります。
参照文献
No. | タイトル | 出版社 | 著者・監修 |
---|---|---|---|
1 | 「世界の犬種大図鑑」 | 誠文堂新光社 | 藤田りか子(著) |
2 | 「いちばんよくわかる犬種図鑑 日本と世界の350種」 | メイツ出版 | 奥田香代(監修) |
3 | 「日本と世界の犬のカタログ」 | 成美堂出版 | 福山貴昭(監修) |